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特集 話題の美容健康情報を検証する
 
第一回 デトックス
2006/1/10
 
★デトックス(解毒)ブームなんですが・・・
 
細川:「日経ヘルス」によると、昨年の健康トレンドは、ズバリ!「解毒」だったそうです。
西川: 「デトックス」というやつやね。
細川:そうです。「デトックス」というやつです(笑)。
西川:解毒というと、医療では、水銀や鉛なんかの重金属中毒患者に、キレーション療法で有毒物質を排泄するなんてことは昔からあるけどね。例えば、鉛中毒の治療では、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)という合成アミノ酸をキレート剤として、点滴するんだけど、このEDTAが、鉛を挟み込んで体外へ排出するという仕組みやね。
細川:ただ、最近のアンチエイジング熱で、その手のクリニックも血液検査や毛髪検査で有害な金属の蓄積度を調べて、キレーション療法をやっているようです。
西川:アンチエイジングのためのキレーション療法は、アメリカからの流れやねんけど、その治療効果は、きちんと確認されていなかったと思うけどね。あと、副作用も怖いしね。身体に必要なミネラルなんかも一緒に排出されることも十分考えられるのとちゃうかな。
だいたい、今、流行りのアンチエイジングクリニックが標榜してる治療法の中には、美容外科からみたら、単に、いろいろな機械を使うだけの安易なものが多いようにみえるものも多いし、ほとんどは、さして、言うほどの効果がないので、経験豊富な美容外科医からしたら、既に、“過去の療法”なんていうものも多いというか、ほとんど、終わってる(笑)、そんなもんやと思いますね。せやから、治療法としての“解毒”というのは、それほど、安易に扱うことは難しいと思うよ。
細川:なるほど。ということは、今回の「デトックス(解毒)」もファッション的な要素が強いかもしれませんね。いつもの、“物”を売るために、業界が仕掛けている臭いがプンプンしてきました!

西川:本当やね。

 
★デトックスブーム、さて、そのきっかけとは?
 
細川:実際のところ、例の日経ヘルスでは、「体の余分なものは全部出したい女心に、この言葉、グッときた。」と表現しています。
西川:デトックスというのは解毒を意味する英語なんやけど、“出して、得する”という感じがフィットして、ブームの仕掛けとしては、秀逸やね(笑)。
細川:はい、いつもながら、その辺の上手さには感心させられますね。やっぱり、現代人って、いつも、体によくないものが、どんどん入っているという気分が強いんでしょうね。そのあたりを、見事に煽っています。
それでは、その、創られたブームとしての“デトックス”の実態をみてみることにします。
まずは、ヤフー辞書の新語検索でデトックスを調べてみした。そのまま引用します。
もともとの英語は「解毒」や「浄化」という意味で、人間の体内にたまった重金属や、余分なミネラルなどを取り除く健康法。体調がよくなる、肌が若返る、生活習慣病の予防となる、などの効果があるといわれている。
従来の健康法はサプリメントなどによって足りない栄養素を補うという足し算方式だったが、これは余分なものを取り除く引き算方式。
人間の体内には、食品や水道水などを通じて鉛やアルミニウム、ヒ素などが細胞のタンパク質などとくっついて蓄積されており、これらはわずかな量でも体に悪影響を及ぼすことが、最近の研究でわかっている。脂肪を分解する酵素の働きを妨げるため、ダイエットがしにくくなることも指摘されており、これらを体内にためないためには、効率よく排出する食事に心がける必要があるという。ゴボウやコンニャクなどに含まれる食物繊維は、余分なミネラルが体内に取り込まれるのを防ぐ働きがある。タマネギやリンゴ、コリアンダー、ニラ、ニンニクなどは、重金属をとらえて体外に排出する。肝臓の解毒力を高める亜鉛やセレンを含む緑黄色野菜などを組み合わせて、取り込まれた毒素を排出するのが効果的である。また、不要な成分を取り除く「デトックスサプリメント」も発売されている。
これを読んで、なるほどと思わされたのは、従来の健康法は、“足し算方式”だったのが、デトックスとうのは、“引き算方式”であるというところですかね。
西川:極力、余計なものを取らないというのは全く正しいね。重金属やミネラルの類ではないけれど、人工に合成された化学化合物や例の環境ホルモンなんかも、有害物質の範疇に入れてもいいと思う。例えば、いまや、食品メーカーは、必要を充足させる食品のみならず、欲望を満たす食品を次々に開発して市場に投入していかないと、企業として存続し、発展していけない。欲望を満たす食品というのは、美味しいことはもちろん、手軽に食べられることであったり、見た目がキレイであったり、長持ちすることであったりするので、化学合成された添加物をバンバン使わざる得ない。だから、この機会に、日頃、食べているものを見直してみるのはよいことやね。
細川:なるほど。ただ、気になるのは、確かに、私たちの生活は有害なものだらけという印象はありますが、そしたら、それは、実際のところ、どれでだけ汚染されているのかというか、いろいろな体の不調との因果関係といったところは、何の根拠も示されていないことです。
西川:ヤフーの新語検索の文中では、「これらはわずかな量でも体に悪影響を及すことが、最近の研究でわかっている」とのこと。最近の研究なんて、まことしやかに書かれているけど、重金属が微量でも体内に入る と、どうなるか、イタイイタイ病や水俣病をみれば、誰だって知っているのとちゃう?
細川:その通りですね。 ということは、このデトックスブームは、確かな根拠や事実があって、それへの対策として、有害物質を排出することを訴えはじめたということではなくて、どうも、体が汚染されているのではという、漠然とした不安につけこんで、何かを売らんかなという企ての様相を、ますます、呈してきました。
西川:今頃になって、デトックスなんて言い出したのは、とにかく、いろいろな体に悪いものを欲望にまかせて体内に取り込んでいるという罪の意識(笑)や現代の食品や大気の汚染、あと、例のアスベストの問題がクローズアップされたタイミングもあって、仕掛けられたように考えざるを得ないというところやね。
 
★デトックスブーム、その実態は?
 
細川:それでは、デトックスブームが仕掛けられたのは、いったい、何を売らんとしているのでしょう? 実際に、デトックスは、引き算方式の健康法というのはいいと言うことでしたが、有害なものを極力とらないように、我慢しようというようなかけ声は皆目聞きません。そんなことしたら、今の好景気に水をさすことなりますからね(笑)。
ヤフーで「デトックス」を検索してみると・・・、大変なことになっていますよー!。 ズラリとデトックス用サプリメントが、延々と、並んでいるではありませんか! なるほど、サプリメントを売るためだったのですね。
西川:そやねー。でも、デトックスのためのサプリメントなんて、どんな成分を配合しているんやろ?
細川:ちょっと、調べてみますね。おっとありました!ほにゃららクリニックのO院長という先生が、デトックスについては、盛んにマスコミでお話をされているみたいで、この先生が配合開発、そして、販売されておられるサプリメントをみてみます。
○△×デトックスというデトックス用サプリメントという触れ込みなんですが、原材料をは、デキストリン、αリポ酸、L-カルニチン、MSM(メチルスルフォニルメタン)、L-グルタミン、L-シスチン、ビタミンB 1、B2、B6、B12、葉酸、クエン酸とあります。アミノ酸やビタミンB群です。こんな成分の構成で、何がデトックスなんでしょうか?
西川:よく分からへんねー。デキストリン、αリポ酸、L?カルニチン、MSM(メチルスルフォニルメタン)、L-グルタミン、L-シスチンにキレート作用があって、有害な重金属をつかまえて排出するようなことが商品の説明に書かれているけれど、率直に言って、根拠がないね、これは。キレート剤というのは、つかまえようとする物質の分子一つに2個以上の結合基「チオール基」をもっていることが条件で、医療行為としてのキレーション療法で使われているEDTAとかがそれにあたるのだけれども、上記の成分は、そういう意味では、キレート剤とは言えないね。
細川:いきなり、大変な指摘ですね。まあ、サプリメントは何でも有りですからね。とにかく、医師が配合したということだけで、その実態を知らずに、いかにも、真っ当な製品のように思われているのが恐ろしいですね。せっせと、デトックス効果を期待して、高いお金を払って飲んでいる方がお気の毒です。
あとのサプリメントは、だいたい、ミネラルや食物繊維、ミネラルウォータですね。
西川:亜鉛やセレンは、直接、有害物質を出すというよりも、解毒の臓器である肝臓の機能を高める目的やね。食物繊維は、便通を良くして、どんどん、出そう、ということかな。
細川:それにしても、こうしてみていくと、ほとんどのサプリメントは、デトックスというには、ちょっと、苦しいというか、強引なこじつけとしか思えないようなものばかりですね。デトックス用サプリメントなんて謳って、恥ずかしくないんですかねー。
 
★本当に大切で、必要なこととは?
 
細川:だいたい、デトックスブームの実態はつかめたように思います。
まとめてみると、デトックスは、訳せば、“解毒”ということになりますが、今、世間で騒がれているデトックスというのは、決して、本来の解毒ということではないようです。それよりも、“癒し”に近いようなニュアンスのようです。具体的に言いますと、「出すものを出して、スッキリとしたい」という、ごくごく、メンタルな快感を提供してくれるものといった感じでしょうか。ですから、出すものと言うのは、実際には、有害な重金属を直接排出するというよりも、大便や小便をしっかり出すこと、汗をしっかりかくことのようです。

西川:例のゲルマニウム温浴もデトックス効果で、また、脚光を浴びてるみたいやしね。

細川:岩盤浴、もっと言うと、普通の温泉地までが、デトックス効果を謳っているようです。
西川:それと、アンチエイングクリニックでは、腸内洗浄とかリンパのマッサージもデトックス療法の一環として打ち出しているみたいやね。
細川:そういう意味では、いろいろな“業界”がのっかれるブームを創出できたことになりますね。
西川:まだあるよ。週末断食とかヨガまでもがデトックスにのっかってるね。
ただね、さっきも話しに出たけど、それだけ、汚染されているという感覚を誰しももっているのにもかかわらず、まず、必要な入るものを制限することにさほど、目を向けずに、出すことばかりに精を出しているのは、ちょっと、滑稽でもあるよね。有害なものを出すという“引き算方式”の健康法というところが、これまでの“足し算方式”の健康法とは違うと言いながら、それは、考え方だけであって、結局、やっていることは、サプリメントを取るとか、何かをたくさん食べるとか、ちっともこれまでの方法論と変わってないよね。本来であれば、まずは、体に入れないことを意識して実行することがあるべき姿であると思うんやけどね。
細川:全くその通りですね。それと、有害な物質を体から排出するというのは、考えてみれば、体に、もともと、備わった当たり前な機能の一つですよね。ということは、その機能を高めるということは、実は、とっても当たり前なことなんじゃないでしょうか?
西川:不要な物質を排出するからだの能力は、泌尿器系・消化器系・呼吸器系・皮膚という、4つのシステムの機能が当たり前に働くことで、尿・便・呼気・汗というかたちで不要な物、用済なものを毎日、排泄しているわけやね。
それで、解毒作用はと言えば、肝臓はたいがいの異物を処理し、可能なかぎり解毒し、4つの経路のいずれかで排出できるように、より単純な化合物に代謝してくれているんやね。
今、関心が高まっているところの、そうした排出機能を維持し、高めるには、4つのシステムが、ちゃんと、働いてくれることに尽きるわけで、そのためには、きれいな水をたくさんのんで、腎臓の尿の排出を助けること、食物繊維をたくさん食べて腸の調子をととのえること、野菜や果物をたくさんの種類と量を食べて、ビタミンやミネラルを不足なく摂取すること、呼吸器系を正しく使い、有酸素運動やお風呂等で、汗をかくことやね。
こうして言ってみたら、ごくごく当たり前で、なにも難しいことでも、複雑なことでもないんやけどね。
細川:なるほど。もしも、デトックスブームに煽られて、本当に大切で必要なことを実践するよりも、意味のな いサプリメントにデトックス効果を期待して、そして、いつのまにか、ブームが終わって、サプリメントもそのうち、忘れられてしまうような、そんな愚かなことは避けたいものですね。
 
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