■Journal of the American College of Nutrition
アメリカ農務省の研究機関、the Agricultural Reserch Service(ARS)の研究チームは、抗酸化物質が豊富に含まれているとされているさまざまな野菜や果物を食べたときに体内でどのようの抗酸化能が高まっているのかを調査しました。
その結果、抗酸化物質が豊富であるとされている野菜や果物を食べても、全てが同じように体内の血中の抗酸化能力が高まるとは限らないことが明らかになりました。
調査は、被験者にブルーベリーやチェリー、乾燥プラム、乾燥プラムジュース、ぶどう、キウイ、いちごを食べてもらい、血液中の抗酸化能力を測定しました。
そに結果、それぞれの野菜や果物に含まれる抗酸化物質はとても複雑で、あるものは、他のものよりも、吸収されやすく、利用されやすかったりすることが確かめられました。
たとえば、プラムは抗酸化物質が豊富であるとされていますが、プラムを食べても血中の抗酸化能力は高まりませんでした。これは、プラムの主要な抗酸化物質であるクロロゲン酸は、体内に吸収されにくいからではないかとしています。野生のブルーベリーの場合は、血中の抗酸化能力を高めるためには相当な量を食べる必要があって、カップ半分くらいの量では抗酸化能力に変化はなかったとしています。また、ぶどうやキウイを食べた後は血中の抗酸化能力は高まったものの、それは何が原因でそうなったのかは分からないとしています。
[コメント]
老化を遅らせるためには、抗酸化力を高めて、活性酸素による細胞の損傷を抑えることが大切であるとうのは、いまや、ほとんど定説になっているようです。フリーラジカルや活性酸素が“悪”で、抗酸化物質が“善”に仕立てれば、とても分かりやすいということもあるのでしょう。ところが、実際に、体内で何がどうなっているのか、完璧に把握されているわけでは、まったく、ないようです。そういう意味では今回の研究報告も、体内でおこっていることの“複雑さ”を証明したといえるのかもしれません。
そもそも、抗酸化食品や抗酸化物質に大きな関心が、寄せられていますが、体内の抗酸化作用の主役は、3つの抗酸化酵素であるわけで、外から取り入れる抗酸化物質は、その働きも、程度も、サブ的であるわけです。
また、活性酸素そのものは、人間が、酸素を取り入れて、エネルギーを産生するうで、絶対に発生するもので、生体とバランスを保っているときには、有用なはたらきをしているのです。バランスが崩れて過剰になったときに、有害なはたらきをするわけです。ですから、活性酸素、イコール、悪者で、常に、退治しなければいけないというのは、ほんの、一面にしか過ぎません。
アンチエイジングビジネスでは、“分かりやすさ”が、必須なわけで、そういう意味では、アンチエイジングクリニックがやっている血中の抗酸化能力を測定し、その結果を元に、いろいろな注射やサプリメントを提案する治療などは、大変、よさげなのですが、実は、大変怪しいわけです。
この研究報告から、私たちが、学び、アンチエイジングな食生活に取り入れるべきことは、さまざまな野菜や果物を万遍なく食べること、身体全体のバランスを大切にすることでしょうか。