ニキビについては、健康保険による治療はあまり役に立たない事は前回話しました。
ここ数年だと思いますが、ビタミンAの誘導体と、ビタミンCの誘導体を利用した治療が盛んに行われるようになってきています。残念ながらと言うか、これらは保険適応ではありません(高くつく薬剤ではありませんが)。
それでは、まずビタミンAの誘導体から話すことにします。
ビタミンAのカルボン酸誘導体であるトレチノイン(オールトランスレチノイン酸)と呼ばれる薬剤ですが、これは、ニキビ治療薬として海外ではもう30年ほど前から、一般的に使用されていて(当然FDAが認可しています)、その効果は広く認知されています。
このトレチノインですが、その生理活性は非常に高く(ビタミンAの50倍以上ですが)、真皮内のコラーゲンやエラスチンの生成を促したり、表皮内のヒアルロン酸の分泌を促進させたりして、皮膚の再生を促す強い作用を持っています。また、皮脂の分泌を抑制します。
トレチノインについては、研究報告がとても多く、肌にとってのプラス面がほとんどです。そうであるのに、日本では認可されていませんし、今後認可されるであろう気配すらありません(乾癬と呼ばれる皮膚疾患や、白血病の一部のタイプに対する、ビタミンA誘導体の内服薬は存在しますが)。厚生労働省の馬鹿さ加減については省略します。
私の場合、十数年前から、ニキビやニキビ跡の治療に、このトレチノインを利用していますが、当初はアメリカや香港の友人医師から随時送ってもらっていたのですが(海外では、このトレチノインはニキビ治療薬として、最もスタンダードなもので、誰でも手に入ります。)、その後、トレチノイン原末を試薬として購入し、院内調合する事で、非常に使い勝手はよくなりました。ただ、この原末の購入にあたって、その使用目的を書面で提出しろだの、実際治療には使うなだの、実はかなりうるさかったりしました。
東京大学が盛んにこのトレチノイン治療を言い出してからは、うるさく言われる事はなくなりましたが。
ニキビに非常に有効な、このトレチノインですが、実はその使い方はとても簡単、と言うものではなく、その塗布の仕方やその濃度がとても大事ですので、やはり詳しい医者(かなり増えていると思います)での処方が必要です。
同じような名前の‘レチノール'がありますが、これはただのビタミンAの事で、化粧品商材としてよく使われていますが、その薬理作用はほとんど(全く)期待できません。
ビタミンAの誘導体については、このトレチノインを始め、その他幾種類かのものも含めて、今後更に期待(肌をきれいにする、と言う意味で)できそうです。
次回は、ビタミンCの誘導体による治療について話します |