ワキからの特異な悪臭、所謂、ワキガ臭を放つ状態を腋窩(ワキの事です)腋臭症と言います。
ワキガというのはこの病態の俗称です。
★さて、どうしてこのような特異な臭いがするのでしょうか。
人の皮膚からは、主に水分と汗と脂質が出ますが、汗の場合、この汗を作る分泌腺には二つの種類があって、それぞれ、皮膚の裏側にひっつくように存在しています。
この分泌腺を、エクリン汗腺(小汗腺)、アポクリン汗腺(大汗腺)と呼びます。
普通に汗をかく、という場合、エクリン汗腺からの汗(ほとんどが水分で、 1〜2%NaCl を含みます)の事を言うのですが、この分泌腺は皮膚のほぼ全体に分布(多い少ないはありますが)しています。
ワキガ臭の原因となるのは、この汗ではなくて、アポクリン汗腺から分泌される汗で、この分泌腺の分布は特殊な場所に限られていて、主に腋窩(ワキ)、外耳道に多く、乳輪や肛門などにも存在します。この汗は、少し濁ったような色調で、たんぱく質や脂質や鉄、アンモニアなどを含んでいます。
問題となるのは、ほとんどが腋窩(ワキ)の場合で、アポクリン汗腺から分泌された汗は本来無臭なんですが、皮膚表層に存在する細菌によって化学変化を受けて、
低級脂肪酸が生じる事で、また、これにアンモニアなどの物質が加わって、あのような特異な臭気になります。
ワキガの方とそうでない方の違いは?
ワキガの原因が、アポクリン汗腺にある事はお話しましたが、ワキガ臭を発するかどうかは、一体何が異なるのでしょうか。
組織学的には、アポクリン汗腺そのものの構造や機能には全く違いはなく、その数量的な違いによる事が判っています。
つまり、ワキガでない方は、アポクリン汗腺の発育が不良で、まったく存在しない方もいます。ワキガの方の場合は、逆にその発育が著しく、1 平方 cm 中に何個以上といった診断基準がありますが、あまり意味がないのでここでは触れません。
それじゃあ、どうして、その数量に違いがあるのでしょうか。
詳しくはよく判っていないのですが、このアポクリン汗腺が多い少ないは、まず人種や民族で異なるようで、欧米人の場合はとても多く、これに比して、日本人は極端に少ないようです。
ワキガが発現するのは、小児や老年期ではなく、ほとんどが思春期です。アポクリン汗腺が、成長機能に関するホルモンなどの影響を強く受けるためで、それ故、ワキガの方は老年期に入るとその臭いは少しずつ消えていきます。
食べ物については、脂肪分の多い食物の摂取との関係が指摘されていますが、
個人が食生活を改めたから、ワキガ臭がなくなると云ったレベルのものではありませんが、ただ、日本人の食生活の欧米化によって、ワキガ体質の方は増えているとも言えそうです。
遺伝については、優性遺伝のために、非常に高率(約 80% )で家族内出現がみられます。
★ワキガは嫌われる?
外国での状況は詳しくは判りませんが、日本では、ワキガは必要以上に嫌悪されるようです。
その臭いだけではなく、衣服の黄ばみに対しても同様で、周囲の目をノイローゼ気味に気にされる方は多くいます。
ある意味、体質な訳ですから仕方がないのですが、元来日本人は体臭の少ない民族で、その上清潔好き、臭いに敏感(とりわけ近頃は)なので、ワキガの方というよりも、ワキガ臭を忌み嫌うのが現実のようです。
次回は、その対処法について書くことにします。 |