心斎橋中央クリニック 西川 浩院長が本音で語る“美と健康”
 
 
 
HOME 》 NEWS&COMMENT 》 07/03/05
 
 
2007/3/5
 

ある種の抗酸化サプリメントの摂取が死亡率を高める可能性

 
■JAMA 2007;297:842-857

 

ベータカロチンやビタミンA、Eの抗酸化サプリメントの摂取は、
死亡率を高める可能性があることを、
過去に実施された複数の文献や臨床試験結果を分析して明らかにしました。

 

デンマークのコペンハーゲン大学の研究チームは、
被験者総数23万2,606名に及ぶこれまでの68の調査研究を分析したところ、
ビタミンA、ビタミンE、ベータカロテンを摂取していた人は、
摂取していない人と比べ、 死亡率が約5%高く、
ビタミンCとセレンについては、死亡率との因果関係はみられなかったとのこと。

研究に携わった研究者は、
抗酸化サプリメントの死亡率へのマイナスの影響については、
さまざまな見解があるとしながら、
酸化ストレスは、多くの慢性病の原因ではなく、結果であるとすれば、
活性酸素を除去することによって、
身体に備わった防御機能を低下させている可能性があるとしています。

そして、試験に使用された抗酸化サプリメントは、化学合成されたもので、
その毒性については、薬のような厳格に試験されているわけでないとも指摘しています。

今後、抗酸化サプリメントの影響については、さらなる研究が必要である結論づけています。

 
【コメント】

健康によかれと思って飲んでいたサプリメントが、
実は正反対の作用を及ぼしているかもしれないという、
なんともショッキングな研究報告ではあります。

ただ、発表直後から多くの専門家から攻撃の的になっています。

例えば、結論の導き方そのものに問題があるとの指摘があります。

それは、被験者は、もともと慢性疾患を患っているために、
死亡率のリスクはサプリメントの摂取の影響とは一概には言えないというものです。

それだけ、世間で受け入れられていることと正反対の研究報告だったために、
インパクトが大きかったということなのかもしれません。

さて、改めて、この研究結果をみてみますと、
悪影響を及ぼす可能性があるのは、
ベータカロチンやビタミンA、ビタミンEだったとのこと。

そもそも、これらのビタミンは、これまでの大規模な疫学調査で、
マイナスに作用を及ぼすリスクが高くなることが指摘されています。

そして、それらの試験でしようされているサプリメントは、
いずれも合成された製品であることが共通しています。

おそらく、これがマイナスの影響を及ぼしたかもしれない最大の原因であると考えるのが自然です。

なぜなら、抗酸化ビタミンが豊富な野菜や果物を食べてマイナスの作用が起こりえないからです。

食べ物中に含まれるカロチノイドは、何百種類からなっていて、
サプリメントのベータカロチンはその中の1つにしか過ぎませんし、
食べ物中のビタミンEは8つの物質の複合体ですが、
サプリメントのビタミンEは、その中の1つの物質のみを抽出しているに過ぎません。

このように、さまざまな物質と有機的に結合した形態で初めて体内で有効に働くわけです。

よって、今回の研究報告は、
その中の1つの成分のみを取り出してせっせと摂取すれば、
時として、身体にはマイナスに働く場合もあると理解すべきではないでしょうか。

栄養は食事から摂取すべきであるということであり、
もしも、サプリメントで補うとすれば、
合成にしろ、天然にしろ、栄養素単体を抽出して摂取するのではなく、
あくまで、食べ物中に存在する形態に近い複合体のサプリメントこそを選択すべきということでしょう。