サプリメントの品質って何? その42

 
042 食品中の葉酸と添加物としての葉酸
 

葉酸はビタミンB群の一種で、その名の通り、ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜に比較的多く含まれています。特に、妊娠初期に不足すると、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが高まることが知られており、胎児の正常な発育に寄与する栄養素です。

アメリカ政府は大胆な政策を実行に移しました。それは、妊娠の可能性のある若い女性に葉酸摂取を推奨するだけでは、生ぬるいとみて、なんと、主食である小麦粉に葉酸を添加することを法律で義務づけたのです。1996年のことでした。要するに、国が全国民に葉酸のサプリメントを強制的に摂取させたわけです。日本では、お米に、予め、葉酸を添加させるようなものです。2年後には、カナダがそれにならいました。はたして、その効果は顕著でした。数年後には、胎児の神経管障害等の先天性異常は、葉酸添加前のおおよそ半分に減ったのです。

ところがです。どうやら、合成ビタミンを継続して摂取することはいいことばかりではないようです。イギリスでもアメリカやカナダの成功に触発され、小麦粉やパンに葉酸を添加することを義務化すべく、イギリス政府機関、FSA(英国食品規格庁)は、担当大臣に勧告することを決定したところ、研究団体から、その安全性が確立されていないとの警告が発せられているのです。

それは、食品で葉酸を摂取すると、ガン抑制効果があるのに、合成の葉酸を摂取すると、腸管ガンのリスクが高まること、そして、高齢者の認知力低下を招くおそれがあること、さらには、閉経後の女性の乳がんのリスクが高まる等が報告されているからです。

これらのリスクは、合成の葉酸を摂取した場合、肝臓の代謝能力をオーバーしてしまい、代謝されていない葉酸が血中濃度が高まることが原因だと考えられているようです。ただ、この警告に対して、FSAは、葉酸の添加の安全性は確立されていると反論しています。結局は、添加の義務化は法制化されるでしょうが、研究団体は、せめて添加する葉酸の量を半分にすべきだとしています。そして、添加の結果は、20年後に明らかになるだろうと指摘しています。

さて、食品として葉酸を摂取するのと、合成の葉酸をサプリメントなど、添加物として摂取するのとでは、なぜ、体内の働きに違いが起こるのでしょうか。それは、食品中に含まれる葉酸はたんぱく質や糖と結びついている(ポリグルタミン酸型)ため、まずは、消化酵素でそのたんぱく質や糖を分解し、さらに、小腸の粘膜の酵素で単体の葉酸(モノグルタミン酸型)に分解されて吸収され、肝臓に蓄積されるのです。

ところが、合成の葉酸はといいますと、既に、初めから単体の葉酸(モノグルタミン酸型)なのです。ですから、消化酵素や小腸の粘膜の酵素の働きがなくても、簡単に吸収されるのです。

その結果、食品中の葉酸の吸収度の2倍の吸収度になるのだそうです。このことは、一見、たくさん吸収できるので、よさそうに思えるのですが、そんな単純ではないようです。簡単に吸収されるということは過剰な摂取になるリスクを孕むということのようです。その結果、肝臓の代謝能力以上に摂取することになって、さまざまな悪さを働くことから、腸管がんや乳がんのリスクが高まったり、高齢者の認知力低下になるのでしょう。

食品で摂取する葉酸は、消化酵素や小腸の粘膜の酵素による分解を経ることなしには、吸収されません。それは、おそらく、身体の持つ葉酸の吸収量の調節機能ではないでしょうか?

どうやら、食品の葉酸と添加物としての葉酸の違いは、私たちが想像している以上に大きいようです。

 
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