さて、その有機ゲルマニウムのことです。ゲルマニウムと聞いて、ゲルマニウムラジオを連想するのは、せいぜい、昭和 30年代生まれの人間まででしょうか。32番目の元素であるゲルマニウムが世に知られるようになったのは、1900年の半ばに、アメリカでゲルマニウムの半導体という性質を利用して、トランジスターが発明されてからでしょう。
そんな電子部品の原料としてのゲルマニウムと飲むと体にさまざまな有益な働きがあるとされるゲルマニウムは、イメージとして、どうしても結びつきがたいものがあります。ビタミンやミネラルのような微量栄養素でもなく、ハーブや漢方のような植物に含まれる成分でもなく(実は、ゲルマニウムはさるのこしかけや朝鮮人参等さまざまな植物に含まれているのですがこの頃は知りませんでした。)、金属のようなものに健康効果があるとは到底思えませんでした。
ところが、たまたま、私の父に聞くと、昭和 40年から50年代にかけて、一時、大変なブームにもなったことがあるというのです。ガンや難病に効くとして、そこそこの評判になったとのこと。さらには、知り合いに、当時、脱サラして、有機ゲルマニウムの販売会社を興した人物がいるというのです。何でも、その人は、自分の母親が、医者にも見離されていた症状が有機ゲルマニウムによって改善されたのを目の当たりにして、すっかり、有機ゲルマニウムの虜になったのだそうです。
ゲルマニウムラジオのゲルマニウム?ガンや難病に効く?いったい、ゲルマニウムって何なんだ!と、どうも、すっきりしません。よく分からない、誰か教えてー、といった感じでした。そして、私に有機ゲルマニウムの存在を教えてくれた、西川院長、当人も、ほとんど同じ感覚をもっていたようです。それからは、二人して、“なんでや?”とか、“もしかしたら、こういうことと違うかな”なんていう会話を延々と続けたものでした。
確かに、この世界で、「万病に効く」なんていうのは、ほぼ、誇大広告どころか、嘘と思って間違いありません。そして、それまでは、そんな類の健康食品や民間療法は、余りにも底が浅く、私たちが、興味をもったり、知的な好奇心をそそられるようなことは、まずは、ありませんでした。ところが、この有機ゲルマニウムだけは、どうも気になったのです。
それに、 昭和 40年、50年代というと、今のように、サプリメントどころか、健康食品という言葉も、概念もなかった頃で、ましてや、今のように、健康番組や雑誌なんかの強力な媒体もなかった時代に、ブームになるということは、ほとんどは口コミで伝わっていったということ。今のように、業界がお金を使って、代理店に仕掛けさせて、ブームを作り上げるなんてことは到底あり得ません。相当にインパクトがあったとしか考えられないわけです。
さらに、一般の人たちの間だけでなしに、ほとんどの国立大学の医学部で、一斉に有機ゲルマニウムの抗ガン作用や免疫賦活作用、抗炎症作用等、さまざまな試験が実際されているのです。
ところが、忽然といってもいいくらいに、消えているのです。何とも不思議なのです。まさに、調べれば調べるほどに、知れば、知るほどに、“謎”は深まるばかりでした。
(細川忠宏)
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