有機ゲルマニウムに魅せられて
 
第七回 ゲルマニウム化合物を探せ  2006/2/22
 

★ゲルマニウム化合物研究の萌芽

ゲルマニウムの人体への有用性についての研究は、 1922年にアメリカの研究者によるゲルマニウム酸ナトリウム、或いは、二酸化ゲルマニウムが赤血球、ヘモグロビンを増やす作用があるとの論文発表に触発されたことが、そもそものきっかけになったことは既に述べた通りです。

そして、文部省の外郭団体であった(財)石炭総合研究所の浅井所長から提供された二酸化ゲルマニウムで、東大医学部物療内科では、再生不良性貧血に対する効果が研究されたり、順天堂大学病院では結核に対する有効性の研究がなされたようです。

また、東大農学部の大越教授は、附属家畜病院にて、日本ゲルマニウム工業(株)から提供されたゲルマニウム酸アンモニアの注射液を犬に注射したところ、白血球が倍近く増えることを確認しています。

その頃、武見太郎氏(元日本医師会会長)と中原和郎氏(元国立がんセンター研究所所長)は、理化学研究所に勤務していた 1930年代からゲルマニウムの有用性に着目しており、二酸化ゲルマニウムは無機化合物であるため、生理活性作用もあるものの、同時に毒性もあって、使いづらいため、水に溶ける化合物でなければ生化学的に効果を期待することが難しいとの助言が浅井一彦博士になされたと、「ゲルマニウム・光」(※1)は伝えています。

★浅井一彦博士の着想

この頃( 1950年代半ば)、ヨーロッパでも、医薬品としてのゲルマニウムの有用性が、盛んに研究されていたようです。特に、ドイツとフランスでは、ゲルマニウム化合物によるガン治療の研究が熱心に取り組まれていたようです。

現地の学会に出席し、それらの研究発表に触れた浅井一彦(財)石炭総合研究所所長は、前述の武見氏、中原氏からの助言の影響もあって、ゲルマニウムの生理活性作用を得るためには、ゲルマニウムを水溶性の有機化合物に合成する必要があるとの着想を得ることになります。

それは、浅井一彦博士の石炭の組織分析研究で、石炭にゲルマニウムが含まれるのは、石炭の元になった植物に含まれていたためで、それは、植物の成長に何らかの作用を及ぼし、植物中に存在するゲルマニウムは、複雑な有機化合物であるのではないかという自ら立てた仮説を支持するものであったと考えられます。

★水溶性の有機ゲルマニウム化合物を求めて

(財)石炭総合研究所では、その後の研究テーマの1つに、有機ゲルマニウム化合物の開発とするに至ります。

そして、浅井一彦博士のもとで、有効な有機ゲルマニウム化合物の発見を目指した研究がスタートしました。

そんな中で、東大伝染病研究所との共同研究の結果、 1958年には、日本医学放射線学会誌に、酸化ゲルマニウム果糖溶液がマウスの放射線障害を軽減させるという論文を発表しています。

★石炭産業斜陽化に伴って

ゲルマニウムの生理活性作用の研究に取り組むきっかけとなった石炭からのゲルマニウム製造国産化プロジェクトは、アメリカから輸入する数倍ものコストがかかるという、高コストの壁を打ち破ることが出来ないまま、また、石炭産業の斜陽か、さらには、トランジスタの原料として、シリコンの台頭によって、一時期、ゲルマニウムブームを創出した熱も次第に冷めることとなりました。

それに伴って、当然、(財)石炭総合研究所の運営は、困難になっていったのもかかわらず、有機ゲルマニウム化合物の開発に突き進むこととなったのです。

※参考文献
・ 衆議院会議録 第 22 回国会 電気通信委員会第6号、第 34 号
・「ゲルマニウム・光」紀野一義編 玄同社

 
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